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「不動産・相続総合無料相談−多治見」は、不動産と相続の問題の解決を考える専門家グループです。

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不動産と相続のお悩みに3人の専門家が総合的なアドバイスをいたします

「不動産・相続総合無料相談−多治見」は、不動産と相続の問題に3つの分野から解決を考える専門家グループです。

NEWS

  • 岐阜県多治見市大日町41−1の建物内にそれぞれ事務所を構える弁護士・不動産鑑定士・土地家屋調査士が,不動産と相続の問題に全員で相談に当たる無料相談会「不動産・相続総合無料相談−多治見」を実施しています。
  • おりべくらぶ2016年5月号の記事「おりべくらぶの駅南エリア周辺散歩」で紹介されました。
  • 2013年1月に開始し,多治見市の皆様にご利用いただきまして,おかげさまで,4周年となりました。
  • 次回は、2017年5月18日(木曜日)に開催いたします。予約制ですので、お電話でご予約ください。
  • 3事務所の業務については,多治見ききょう法律事務所(弁護士木下貴子),クニタチ鑑定事務所(不動産鑑定士山村寛),奧村測量登記事務所(土地家屋調査士奥村忠士)の各ページをご覧ください。
  • 2014年7月4日(金曜日)に,不動産鑑定士山村寛が,多治見市内の美・マリアージュ多治見で開催されたPAL研究会朝食会において,「相続と不動産」のテーマで講演をしました。
  • 2015年4月に,不動産鑑定士山村寛も執筆者に加わった相続に関する書籍「転ばぬ先の相続」が出版されました。

TOPICS新着情報

2017年1月28日

今回のテーマは「預貯金の相続」です。

1 相続預金の払戻しに関する重要な最高裁決定

最高裁大法廷は,平成28年12月19日預貯金と遺産分割に関する重要な決定をしました。
預貯金についても当然に法定相続分で分割されてしまう,のではなく,遺産分割の対象となることが,今回の決定ではっきりしたのです。
詳しくはこちら:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/354/086354_hanrei.pdf

2 今回の決定による実務上の変更

(1)銀行等金融機関の実務への影響
今後,銀行等は各相続人からの法定相続分による預貯金の払戻し請求には,応じないことともあるでしょう。(これまで通りの取扱をするという金融機関もあるようですが)
つまり,相続人が合意(遺産分割協議)して払戻し手続きをする,または,裁判所で預金の帰属を決めてもらう(審判)ことで払戻し手続きをする,という方法でしか,預金の払戻し請求ができなくなります。
銀行等の実務としては,遺産分割の終了(調停又は審判による)まで預貯金が凍結されてしまうことが考えられます。

(2) 家裁実務への影響
今までは,相続人の全員の同意があった場合のみ,預貯金を遺産分割の対象とすることができたのですが,今後は、相続人の同意の有無にかかわらず,遺産分割の対象となります。しかし,これまでは遺産が預貯金のみであって,各相続人が法定相続分に応じて金融機関から払戻しを受ければ相続が終了していた場合にも,今後は,遺産分割手続が必要となってしまうということになります。

3 これまでの判例・実務

これまでの判例・実務では,相続預金は当然分割される(可分債権と考える)ので,話合い(遺産分割協議)しなくとも,法定相続分で,いきなり,銀行等に払戻請求ができる,とされてきました。
つまり,100万円の相続預金があり,二人の子が相続したような場合,話合いによって,誰が払い戻すかを決めなくとも,各自の法定相続分である2分の1の持分に応じて,50万円ずつ払戻請求ができたのです。
もっとも,銀行等がこの払戻請求に応じないことも,古くは多くあり,裁判によって払戻請求をしてきた,という実態がありました。最近になって,やっと,裁判をしなくとも,法定相続分に応じて払戻に応じてくれる・・という状況になっていたのです。

今までの判例・実務はこちら↓

「相続財産中の可分債権は法律上当然に分割され,各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。」(最判昭29・4・8)
詳しくは,http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/093/056093_hanrei.pdf

「相続財産中に可分債権があるときは,その債権は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり,共有関係に立つものではないものと解される。」(最判平16・4・20)
詳しくは,http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/575/062575_hanrei.pdf

そのため,預金債権については,「相続開始(被相続人死亡)と同時に当然に相続分に応じて分割され,各共同相続人のものになる」ので,遺産分割の手続は要らない,そもそも遺産分割手続の対象とすることができない,とされてきました。

もっとも,「遺産分割調停」の段階では,預金も含めて話合いを進め,当事者間で「預金債権についても遺産分割の対象とする」という合意がある場合には,預金債権についても遺産分割の対象として,審判で分け方を裁判所が決める,という実務上の取扱はなされていました。

これは,話合いで進められる場合には,預金を含めて考えることができれば,不動産,株式などの遺産をどのように分けるか,預金の配分を変えることで柔軟に調整ができるところ,預金は当然に法定相続分通りに分割されてしまって,残りの遺産だけで分け方を決める,というのでは,解決方法として限界がある,という事があったと思います。

他方,協議が進まなくても,現金としてすぐに使える「預金」を早く取得したい,という希望がある場合には,「原則」どおり,法定相続分に基づいて,銀行等に払戻請求をすることもできていたのです。
今回の裁判所の判断により,このような対応ができなくなったことが,大きな実務上の変更点になります。

4 類似の問題

これまでにも,(旧)郵便局定額貯金,投資信託,国債,株式,現金は,相続開始時(被相続人の死亡時)に当然に分割される,という「考え方」を裁判所はしておらず,法定相続分に応じた支払請求をすることはできない,とされていました。

今までは,遺産分割調停で合意ができない場合に,不動産,現金等の遺産の分け方は,審判によって裁判所が決めてくれるのに,なぜ「預金債権」だけが,決めてもらえず,裁判等によって直接銀行等に払戻請求をすることになるのか,説明しづらく,世間一般の方にはわかりづらいだろう,と感じていました。
これが,今回の判断で,統一的に「遺産分割の対象」となり,シンプルな「考え方」になったと言えます。

5 今回の最高裁の決定の事実関係

今回の最高裁の決定の事案は,死亡した男性の遺族が男性の預金約3800万円について,別の遺族が受けた生前贈与などと合わせて遺産分割するよう求めた審判案件でした。

もし,この預金が遺産分割の対象となるのであれば、別の遺族が受けた生前贈与などについて特別受益として取扱われる可能性があり、生前贈与を受けていない遺族にとっては、遺産分割に際して、預金の分配に関し有利な取扱いを受けることが考えられます(別の遺族が受けた生前贈与が大きな金額であった場合には、大きな生前贈与を受けた遺族に対しては、この預金の遺産分割としては、配分がなくなることもあり得ます)。

もしこの預金が(従前の判例どおりに)遺産分割の対象とならないとすると,別の遺族が受けた生前贈与を考慮することなく,それぞれの相続人(遺族)は金融機関に対してその法定相続分に基づいて各人が分割された預金の払戻しを請求することができることになります。
反対に,遺産分割の対象となるのであれば,既に生前に贈与を受けた遺族には,これを考慮して,預金の払戻し請求ができない,もしくは,出来る金額が低くなる,と言う判断となります。
そのため,預金について遺産分割の対象となるのか,ならないのかということが実際上の大きな差を生じる問題となるのです。

6 最高裁が今回の判断をした理由

最高裁は,「共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。」と判断しました。

そして,その理由としては,
(1)「遺産分割においては被相続人の財産をできる限り幅広く対象とするのが望ましく,遺産分割手続を行なう実務上の観点からは,現金のように評価についての不確定要素が少なく,具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることに対する要請も広く存在する〜中略〜具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産であるという点において〜中略〜預貯金が現金に近いものとして想起される」
(2)「預貯金契約は,消費寄託の性質を有するものであるが,預貯金契約に基づいて金融機関の処理すべき事務には,預貯金の返還だけでなく,振込入金の受入れ,各種料金の自動支払,定期預金の自動継続処理等,委任事務ないし準委任事務の性質を有するものも多く含まれている〜中略〜普通預金債権及び通常貯金債権は共同相続人全員に帰属する…ところ,〜中略〜上記各債権は口座において管理されており、預貯金契約上の地位を準共有する共同相続人が全員で預貯金契約を解約しない限り,同一性を保持しながら常にその残高が変動しうるものとして存在し,各共同相続人に確定額の債権として分割されることはないと解される。」
(3)「定期貯金についても〜中略〜契約上その分割払戻しが制限されているものと解される。」
などとしました。

つまり,
(1)現金と近い性質を持つ預金債権を遺産分割の対象とすることで調整しながら遺産分割の方法を決められる。
(2)普通預金の契約であっても,口座を開設すると,以後預金者がいつでも自由に預入れや払戻しをすることができる継続的取引契約であるため,その結果発生した預貯金債権は,1個の預貯金債権として扱われる。特に,相続開始(死亡)後の入出金により,残高が変動してしまった場合に,既に分割債権となってしまった後の処理の問題を避けられる。
(それまでは,相続開始時に一旦法定相続分で分割されてしまった預金が,その後に引き落とされたり,入金があったりした場合に,どのように考えるべきか,という問題がありました。)
(3)郵政民営化法の施行により,日本郵政公社は解散し,その行っていた銀行業務は株式会社ゆうちょ銀行に承継されたけれども,その基本的内容が定期郵便貯金は同じで,契約上その分割払戻しが制限されているものと考えるべき(先述したとおり,従前の判例でも,定額郵便貯金については,性質上,当然に分割されないとされていたため,なぜ,民営化したら,分割払戻が許されるのか,という問題に繋がった)。
という理由から,普通・定期の預貯金の区別なく,遺産分割の対象と認める,という結論でした。

7 新たに生じうる問題と対応

(1)相続開始を知ったときから10か月という相続税納期限内に遺産分割協議ができていないと,相続税を納めるために預金の払戻しをして使うことができず,相続税が納付できないというおそれがでてきます。
(2)そのため,預貯金について,早期の現金化を可能とするためにも,遺言書の作成をしておいて預金の払戻しができるようにしておくこと,生命保険等を利用して,現金として納税資金を準備できるようにしておくことが,今まで以上に必要なものとなってくると思います。

2016年9月11日

今回のテーマは「不動産相続で有利となる不動産・不利となる不動産」です。

遺産分割協議や遺産分割調停で,取得するとよい不動産は,利用するのであれば,利用目的にあった不動産,売却するのであれば,売れる見込みのある不動産です。
しかし,利用する予定の不動産であっても,後の世代の子どもたちが,ずっと使い続けるとは限らず,売却する可能性もあると思います。その際に,有利となる不動産・不利となる不動産は何でしょうか?
山村不動産鑑定士が経営者向け朝の勉強会PAL朝食会にて,「不動産と税金」のテーマで話をしましたので,弁護士の木下貴子がシェアします。

結論を言いますと,有利となる不動産は,「不動産を購入したときの領収書のある」不動産です。

具体的事例で考えてみましょう。
(但し,税金に関する細かい点は分かりやすくするため,概要となっていますので,詳細は税理士にお尋ね下さい。)

Aさんの所有土地概要

時価  2,000万円  面積 300u
固定資産税評価額  1400万円
取得原因  平成26年10月 相続
昭和60年にAさんの父親が1,500万円で購入
現況  更地

土地保有に関する税金
・土地の固定資産税  196,000円
      = 14,000,000円×1.4%
・土地の都市計画税   42,000円
      = 14,000,000円×0.3%
・合計 年額238,000円

売却代金・経費

Bさんに平成28年10月に2,000万円で売却
@売却代金等
・売却代金 20,000,000円
(固定資産税清算金 119,000円
         = 238,000円×6か月/12ヶ月)
A経費等
・印紙税     10,000円
・仲介手数料 712,800円 
   = (20,000,000円×3%+60,000円)+消費税
・譲渡所得税
  譲渡金額−(取得費+譲渡費用)×税率

譲渡所得税の額

  1. 15,000,000円の領収書がある場合
    893,000円 ≒((20,000,000円+119,000円)
      −(15,000,000円+10,000円+712,800円))
     ×20.315%
  2. 15,000,000円の領収書がある
       +相続税を1,600,000円支払っていた場合
    568,000円 ≒((20,000,000円+119,000円)
      −(15,000,000円+1,600,000円+10,000円
      +712,800円))×20.315% 
  3. 同年にバブル時に5,000,000円で購入した別荘地を1,000,000円で見切り処分した場合
    80,000円 ≒
    ((20,000,000円+119,000円+1,000,000円)−(15,000,000円+5,000,000円+10,000円+712,800円))×20.315%
  4. 領収書がない場合
    概算取得費  20,000,000円×5%=1,000,000円
    3,737,000円 ≒((20,000,000円+119,000円)
       −(1,000,000円+10,000円+712,800円))
       ×20.315%

この事例で領収書がない場合との譲渡所得税の差額

  1. 15,000,000円の領収書がある+相続税を1,600,000円支払っていた場合 との差額
    3,737,000円ー568,000円=3,169,000円
  2. 同年にバブル時に5,000,000円で購入した別荘地を1,000,000円で見切り処分した場合との差額
    3,737,000円ー80,000円=3,657,000円

そのため,相続で不動産を取得する際には,利用のしやすさ,売りやすさで選ぶのももちろん重要ですが,購入したときの領収書がある不動産を選ぶ,というのも大事ですね。
また,相続の場合に,相続人が相続不動産を自分の名義に変更するときには,権利証は要りません。ですから・・・以下のようなことが言えそうです。

  • 権利証なくしても領収書なくすな!
  • 相続するなら領収書付き不動産

そして,
相続した不動産の取得原価,取得期間は被相続人を引き継ぐ
売却損が出る不要不動産は,売却益が出る不動産と一緒に売却 (損益通算)
を意識すると,さらに節税になることも多いようです。

今後,自分のお父様,お母様などから不動産を相続する予定がある方は,購入時の「領収書はあるの?」と尋ねてみましょう。「領収書」がない場合には,再発行の手続きをしてもらうなど,準備をすると良いでしょう。
また,ご自身の購入した不動産についても,領収書を揃えて,子どもさん達に引き継げるよう準備をされておくといいですね。

2016年7月23日

今回のテーマは,「空き家に対する税制改正」です。
弁護士木下貴子のビジネスパートナーのひとりである向井正義税理士に,記事を書いていただきました。

空き家に対する税制改正

近年,空き家の問題を聞くことが増えました。空き家(別荘や売却等のために空き家になっているものを除く)は,全国に318万戸(平成25年 総務省資料)もあり,年々増え続けているようです。この空き家の問題に関連して,相続した空き家を売却した場合と空き家を持っている場合について税制改正がありました。

空き家を売却した場合 → 優遇されます

相続した一定の空き家を売却した場合の譲渡所得について,最大3,000万円を控除できます。
<一定の空き家>
・相続直前において「亡くなった方」が一人暮らしをしていた家屋(相続で空き家になった)
・昭和56年5月31日以前に建てられた家屋
・区分所有建物でないこと(マンションは対象外)
<その他の要件>
・平成28年4月1日から31年12月31日までに売却すること
・相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
・売却代金が1億円以下であること
・相続時から売却時まで事業用,貸付用,居住用に使われていないこと
・耐震基準に適合するようリフォームしてある家屋であること ⇒ 重要!
※家屋を取り壊して,土地だけを売却してもOKです

空き家を持っている場合 → 厳しくなります

住宅やアパートの敷地については,固定資産税が軽減される仕組みとなっていますが,「特定空家等」に該当すると,この特例が受けられなくなるおそれがあります。
<住宅用地に対する課税標準の特例>
課税標準というのは固定資産税率(1.4%)や都市計画税率(0.3%)をかける対象となる金額のことです。この課税標準が住宅用地の場合は優遇されています。
 〜小規模住宅用地(住宅1戸当たり200uまで)〜
  固定資産税 更地の1/6  都市計画税 更地の1/3
 〜一般住宅用地(住宅1戸当たり200uを超える部分)〜
  固定資産税 更地の1/3  都市計画税 更地の2/3
住宅用地については固定資産税等が優遇されており,人が住んでいない空家であっても同様のため空家のまま放置しているケースが多くなっています(更地にすると固定資産税があがる)。
<改正点>
そのまま放置すれば倒壊や衛生上有害となるおそれのある空家(「特定空家等」)と判断され,撤去や修繕などの助言・指導のもと改善がされない場合には,「勧告」が出されます。この勧告を受けると,住宅用地の特例から除外されることとなります。除外をされると,固定資産税が最大で6倍になります(従来1/6になっていたため)。
※固定資産税の増税だけにとどまらず,市町村による強制撤去(費用は所有者から徴収)ということもありえます。

※内容につきましては,できるだけ簡略化しておりますので,実際の適用に当たっては事前によくご検討下さい。

2015年11月8日
今回のテーマは「登記できる建物とできない建物」です。土地家屋調査士の奥村忠士が担当します。

建物には、一戸建住宅・アパート・マンション・ビル(店舗)・工場・車庫・物置等いろいろあります。
民法には、「建物とは何か」と規定がなく、不動産登記法にも定義がありません。
民法では,「土地及びその定着物は,不動産とする」とされているので,「土地の定着物」と言えるものしか登記することが出来ません。
建物が登記できるかできないかは、結局のところ、土地に定着している工作物を
法務局の登記官が判断することになっています。定着というくらいですから、ある程度継続して土地に付着して利用されていないとダメなんですね。
例えば、建築工事現場の事務所(仮設的)や耐用年数1年程度のビニールハウス等は登記できません。
また、それ以外のポイントとして
  1. 定着性(基礎工事ができていること)
    ・ 基礎がない物置は登記できない。
  2. 外気分断性(屋根と周壁(3方に囲まれた)があること)
    ・ 柱だけのカーポートは登記できない。
  3. 用途性(取引できる建物かどうか)
    ・その建物が目的とする用途に供しうる状態にあること。つまり、その建物が生活空間を形成し居宅であれ倉庫であれ、その目的に供しうる状態まで完成していなければ登記できません。
    ・ 倉庫なら、天井や床がなくてもその目的に供しうれば、登記できます。
以上のように社会通念上によって判断しますので特殊な建物はお気軽にご相談ください。着工前なら図面で、完成前なら現地の建物を確認してご判断いたします。
登記ができる不動産(建物)かどうかで,遺言書での目的物の特定の仕方,売買契約で対象目的物となっているのかどうか,対抗要件(第三者にも権利を主張できるか)なども違いますので,注意が必要です。
2015年9月6日
今回のテーマは「失敗実例から学ぶ相続対策(2)〜相続財産を共有のまま放置した例」です。不動産鑑定士の山村寛が担当します。

Aさんは4人兄弟の長男です。25年ほど前に父親が亡くなった時の相続では,すべての土地を4兄弟の共有名義にしました。これは4兄弟仲が良いので,いずれそれぞれが後でほしい土地を分ければいい,と考えたのと,当時長期譲渡所得の100万円控除があり,不動産を共有にしておいたほうが売却した時有利ということもあったようです。
3人の弟たちは皆地元を離れており,父親から相続した土地は,地元に残るAさんがすべて管理をしていました。
もともと地元の資産家だけに,古くからの貸地,貸家も多く,管理も大変でAさんは少し整理しようと考えていました。
そんななか,地代が滞りがちだったX社が,突然大きな仕事がとれたとかで,借りている土地を購入したい,との申し出がありました。X社が提示した価格は妥当であり,今まで何度も嫌な思いをして延滞している地代を請求していたAさんはこの機会に土地を売却することを決断し,早速3人の弟たちに連絡しました。土地は四人の共有になっているから全員の同意が必要です。2人の弟は同意しましたが,東京で暮らしているすぐ下の弟Bさんが「土地がそんなに安いわけがない。」という理由で同意しません。地元を出て東京暮らしの長いBさんには,東京の感覚では,地元の地価の安さが理解できなかったようです。何度か説得を試みましたが,どうしても同意が得られず,結局,AさんはX社への土地の売却を断念しました。
最近また,X社の業績が芳しくないようで,地代が延滞しがちになりました。Aさんは,「あの時売却しておけば・・」と後悔されています。もちろん今のX社では土地を購入する資力はありません。毎月末にX社から入金があるか憂鬱です。
そこでここ数年は,Aさんはお盆に兄弟が集まるたびに,弟たちに土地の共有はやめてそれぞれに分けよう,と提案しています。当初は皆真剣に考えていましたが,最近は皆さん高齢化してきて,だんだん考えるのが面倒になり,若い人が考えてくれれば(つまり子供たちの代に解決すれば)いい,と言い出す人が出てきました。4兄弟皆さんそれぞれ子供さんがいますから,いとこは全員で10人を超えます。育った環境も考え方もどんどん離れていきます。だんだん分割は難しくなるのは分かっていますが,Aさんも今では共有関係の解消をあきらめでいます。
現在,借地や借家契約が終了して,返還された土地は,すべて更地のままです。有効活用しようにも,4人の同意が得られる見込みはありませんし,将来分割するときにはいつでも現金化できるよう,更地にしておかざるを得ないのです。
このため,地代,家賃収入が徐々に減少する一方で,固定資産税が増加し,このままでは,持ち出しにならないか,Aさんの悩みは尽きません。
不動産を相続する際,すぐに売却する予定が無ければ,絶対に兄弟の共有は避けるべきです。時間が経てば経つほど,処分がむずかしくなります。Aさんのケースでは兄弟全員が存命中ですが,兄弟や兄弟から相続した甥,姪と連絡がつかなくなったら最悪です。兄弟がもめないようという親心が実は,兄弟の仲を悪くすることにもなりかねません。
2015年8月16日
今回のテーマは「相続による不動産・株式の共有」です。弁護士の木下貴子が担当します。

今回は,弁護士でも間違いやすい「株式」の相続についてお話しします。
具体的な事例で,株式がどのように相続されるのか,考えてみましょう。
株式会社○○会社 総株式数100株 代表取締役のA 60株 後継者予定の長男B 40株所有 この状態で,Aが亡くなりました。
相続人はAの妻C 長男B  二男D の3人です。
この場合,Aの持っていた株式60株は,どうなるのでしょうか?
妻Cの法定相続分は,2分の1なので,30株,長男B,二男Dの法定相続分は,2分の1×2分の1=4分の1なので,各15株ずつ取得する。その結果,Bは元々持っていた株式40株と合わせて55株,妻C30株,二男D15株となり,後継者Bは過半数の株式を取得するので,なんとか会社の意思決定をしていけそう・・・と思いませんか?
ところが,実は,判例上,そのようには考えられていないのです。
結論をおおざっぱに言いますと,相続人Aが持っていた株式60株は当然に分割されるわけではなく,法定相続分で,長男B,妻C,二男Dが「共有する」と考えられているのです。つまり,60株のうちの一株一株を妻Cが2分の1の割合で,長男B,二男Dが各4分の1の割合で共有(準共有)することになるのです。
この場合,どのように相続した60株の株式の議決権を行使するかというと,3人が話し合って過半数の賛成で代表者を決め,その代表者が60株分の株式の議決権を行使できることになります。つまり,後継者予定の長男Bが反対しても,妻Cと二男Dが賛成すれば,60株=会社の総株式の3分の2の議決権が行使でき,取締役の選任,解任などができてしまうのです。
例えば,妻Cが長男Bと当初同居していたけれど,Bの妻とうまくいかず,B夫婦は出て行くことになり,Bに対しては良く思っていない一方,その後,深く交際するようになった二男Dの妻との関係は良好で,会社についても,これからは,Dにやっていって欲しい,などと思っていると,本当にこのようなことが起こりかねないことになります。
この状態を解消するには,長男B,妻C,二男Dで遺産分割協議をし,誰か何株を取得するのか決めることになりますが,先のような事情があると,なかなか協議も難しくなりそうですね。
もし,Aとしては,従業員や今後の会社の展望のため,会社はBが引き継ぐことが適切である,と考えていた場合には,このような事態を防ぐために,生前に「遺言書」を書いておくことが不可欠だったことになります。

ちなみに,どうして,このように考えられているか,裁判所の考え方を見てみると「不動産」の共有問題と同様に考えていることが分かります。
条文で,みていくと,まず,遺産分割前の株式は相続人の準共有状態と考えており,株式の共有について定めた会社法106条の規定に基づき権利行使を行うことになります。そのため,株式の権利を行使する者1人を定めて,会社に対しその者の指名を通知し,その定められた権利行使者が,株主としての権利行使を行うということになります。
この権利行使者を誰にするか,という点について争いになることが考えられるのですが,この権利行使者の指定は,「共有物の管理行為」として、持分価格に従いその過半数で決せられると解されています(最判平成9年1月28日判決,民法252条)。
不動産の場合には,「株式」と比べると,間違えることが比較的少ないのですが,時々,「持分が半分なので,どの場所かは分からないけれど,半分は自分の物として使えるはず」と言われるのですが,正確には,少し,違います。
不動産も,ひとつ(一筆)の土地を相続した場合には,法定相続分で,その土地が当然に分けられて(分筆されて)使える,ということではなく,「準共有」状態となっています。
各相続人は,「ひとつの土地全体」を持分に応じて使えることになります(民法249条)ので,土地の半分だけしか使えない,というのとは異なります。
この場合でも,「管理行為」については,「持分の価格に従い,その過半数で決する」ということになっており(民法252条),株式の権利行使者の指定をすることは,この「管理行為」と考えていることになります。
この状態を解消するには,不動産の場合にも,遺産分割協議で不動産の分け方を決めることになります。この場合に,Xという不動産一筆をCが2分の1,B,Dが各4分の1ずつ共有することにして,登記することもできるのですが,これでは,「準共有」状態が,正式な「共有」状態にかわっただけで,X不動産全体の「管理行為」については,持分の過半数の人で決めていかれてしまう,という状態は変わりません。
ですので,相続後に不動産を貸したい,売りたい,というときには,特別な事情がない限り,遺産分割協議で「共有」状態にしておくことは望ましくないと思います。
共有不動産については,「保存行為」は共有者一人だけででき,「管理行為」は過半数,「変更などの処分行為」は全員の同意が必要とされています。具体的に何が「保存行為」「管理行為」「処分行為」となるかは,また,別の機会にお話ししたいと思います。

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