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「不動産・相続総合無料相談−多治見」は、不動産と相続の問題の解決を考える専門家グループです。

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失敗実例から学ぶ相続対策(1)〜相続対策を誤った例

今回のテーマは「失敗実例から学ぶ相続対策(1)〜相続対策を誤った例」です。不動産鑑定士の山村寛が担当します。

A子さんという中年の女性が,土地の価格を教えてほしいと,知人の紹介で,私の事務所を訪れてこられました。
聞けば,A子さんは定年を控えた公務員。十数年前にご主人がお亡くなりになっており,現在は,高齢のお母様と二人暮らしとのこと。相談は,A子さんが現在お住まいの自宅の敷地の価格が知りたい,ということでした。
事情はこうです。
A子さんのお父さんBさんは地主で,アパートや貸地もあり,相続税の支払いが不安でした。そこで,A子さんの長男Cをお父さんの養子としました。つまり,孫を養子にして相続人を増やしたわけです。15年ほど前にお父さんのBさんがお亡くなりになっとき,いずれは長男のCさんにすべての財産を相続させるつもりだし,母親や自分が相続して,また長男Cさん相続させるより,一気に長男Cさんに相続させたほうが得だと,誰かにアドバイスされたようです。結局自宅の建物をお母様が相続した以外,すべての土地建物を長男Cさんに相続させました。
その後Cさんは結婚され,子ども授かり,A子さんの自宅の近くにマイホームを建てられました。
5年ほど前,そのCさんが不運にも交通事故に遭いお亡くなりになりました。CさんがBさんから相続した土地建物は,Cさんの奥様Dさんと子どもたちが相続しました。これがA子さんの悩みの始まりです。
Cさんがお亡くなりになった当時,奥様Dさんとは別居状態で離婚も考えていた時期だったそうです。 相続関係図
Dさんは,Cさんから相続した土地建物を次々に売却し始めました。A子さんは苦々しく思っていましたが,仕方ないとあきらめていました。ところが3年ほど前に,A子さんとお母様が住んでいる自宅の土地の地代を要求されるようになりました。A子さんは,合点がいきませんが,Dさんが土地の所有者だからしょうがないと,少額ですが地代を払うようになったようです。
そして,3か月前に,今度は,自宅の土地を買い取るようにさらに要求がエスカレートしました。弁護士にも相談したようですが,いい答えが見つからず,A子さんはすっかり疲れておられました。年老いたお母様の最後を安心して自宅で迎えさせてあげたい,との一心から土地の購入を決意され,私の事務所に相談にこられたというわけです。
結局,A子さんは今までの蓄えと退職金の一部で,土地を購入されました。価格はDの要求通りだったようです。せっかく買い取った土地も,最期は,またDさんが引き取っている孫たちに土地が相続されるかと思うと,A子さんにとっては何ともやりきれない結末でした。
今回のようなケースは,実はよく見かけます。ご主人が亡くなられたときの相続手続きで,相続税がかからないなら何度も手続するのが面倒だし,私が生きているうちになら兄弟での争いもないだろうと,全て子ども(長男の場合が多い)に相続させようとする奥様がおられます。私は,いつも,「大変申し上げにくいのですが,皆さんが順番にお亡くなりになるとは限りませんよ。相続は下(子・孫)が優先,上(親,祖父母)が相続人になることはめったにありません。せめて,自宅の土地建物だけでも,奥様が相続されたほうがいいですよ。そうすれば,安心して住み続けられますよ。」とアドバイスしています。

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弁護士 木下貴子
(岐阜県弁護士会所属)
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土地家屋調査士 奧村忠士
(岐阜県土地家屋調査士会所属)