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〒507-0032 岐阜県多治見市大日町41−1
(注)この記事は,執筆時である2014年7月5日時点を「現在」として記述されています。
不動産鑑定士山村寛が,2014年7月4日多治見市内の美・マリアージュ多治見にて「相続と不動産」のテーマで講演した内容の中から,1つのトピックを紹介します。
相続税法が改正され,2015年(平成27年)1月1日の相続から,相続税の課税が強化されます。
これと併せて,相続税法の改正ではなく,所得税(譲渡所得税)の関係での法改正になりますが,「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が土地(正確には,土地+借地権)に関して,見直されます。
相続税と譲渡所得税(住民税もあります)は別の税ですので,相続した土地を売却した場合,相続に関して相続財産に応じた相続税が課税され,売却時には売却益に譲渡所得税が課税されます。売却益は,売却額から,売却に要した費用,「取得費」(その土地を購入した代金+購入時の諸費用)を差し引いて計算します。古くからある土地を相続したような場合,購入したときの価格はわずかであって,売却額のほとんどが売却益となることもよくあります。なお,取得費の証拠が無いような場合でも,売却額の5%を取得費とすることが認められています。
同じ土地について,相続税を納めた上で,譲渡所得税を納めることになり,手元に残る現金が少なくなってしまうことになります。
そこで,相続税の申告期限(通常は死亡から10ヶ月後)から3年以内に不動産を売却した場合に限って,取得費に,相続税の一部を加算することができる制度が設けられています。
相続財産は土地以外にも預金・株式・建物などがありえ,相続税はそれら相続財産全体に課税されていますが,相続税の内加算対象となるのは土地にかかった相続税だけです。
現在は,複数の土地を相続した場合,土地全部の相続税を取得費に加算することができます。
2015年1月以降の相続に関しては,売却したその土地の相続税に限って,取得費に加算することができます。
現在は,沢山の土地を子が相続して一部を現金化する(相続税を納税するためなどの理由で)ような場合,
ということになっています。
こうした場合,生前の税対策は必要も無いということになります。
2015年1月以降は,死後に売却した場合にも譲渡所得税が課税されることになります。そのため,生前に土地を売却して現金化しておいた方が得になることが多くなりました。特に,相続税評価額よりも実勢価格が低いような不動産については,大きな差が生じます。
生前の税対策が必要となることが多くなってきます。
たとえば,相続税評価額が10,000,000円,実際に売却できる額が6,000,000円の土地があるとします(間口が狭く奥行きのあるような土地などでこのように逆転することがあります)。
まあまあの資産家で相続税率は30%になるとします。
譲渡益にかかる譲渡所得税・住民税は合計20%です。
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弁護士 木下貴子